ホラー映画

バーバリアン【Barbarian】2022年 アメリカ映画

オススメホラー!

作品概要

ジャンル

ホラー、スリラー【独自ジャンル付け アグレッシブ・コミカル婆(ばばあ)ホラー】

スタッフ

監督・脚本 / ザック・クレガー

プロデュース / アーノン・ミルチャン、ロイ・リー、ラファエル・マーギュレス、J.D.リフシッチ

配給

20th Century

キャスト

テス・マーシャル / ジョージナ・キャンベル 「Bird Box Barcelone」「The Watchers」

キース・トシュコ / ビル・スカルスガルド 「Anna Karenina」「Victoria」「Atomic Blonde」「It」「John Wick : Chapter 4」

AJ・ギルブライド / ジャスティン・ロング 「Jeepers Creepers」「Die Hard 4.0」「Drag Me to Hell」「Movie 43」

"The Mother" / マシュー・パトリック・デイヴィス 

フランク / リチャード・ブレイク 「Cold Mountain」「Batman Begins」「The Black Dahlia」「Hannibal Rising」「Mandy」「3 from Hell」

アンドレ / ジャイムズ・バトラー

2022年に制作された主なホラー映画

「Talk to Me」「Smile」「NOPE」「エスター ファースト・キル」「The Menu」「X エックス」「Pearl」「テリファー / 終らない惨劇」「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」「ブラック・フォン」「ファミリー・ディナー」「PIGGY ピギー」「ハロウィン THE END」「スクリーム」

 

簡潔あらすじ (ネタバレなし)

テスは翌日の面接の為、デトロイトのブライトムーア地区バーバリー通りにある1軒家(いわゆる民泊)を予約するが、そこにはすでに男が宿泊していた。男の名はキースというらしい。見ず知らずの男と夜を明かすことはさすがに有り得ないとテスは他の宿を探そうとするが、キースが言うには「学会があってどこの宿もいっぱい」「この近辺は治安が悪いから今夜は表に出ないでここで泊まったほうが良い」と忠告する。警戒しながらもテスは一夜を過ごすことにする。

テスの就寝中に何者かが鍵を掛けたはずの寝室のドアを開けたようだが、ソファで寝ていたキースは「開けてない」と言う。翌朝、キースはすでに出ており、テスは面接に向かう。宿に戻ったテスはトイレットペーパーを探しに地下室を探してみるが1階から地下室への出入り口のドアが閉まって閉じ込められてしまう。仕方なく地下室を物色してると壁から何やらロープが出ており、引っ張ってみると隠し扉が開き始めて謎の通路が現れる。

恐怖を感じながらも気になって中に入ってみるテス。すると突き当り左側に部屋があり、血で汚れたようなベッドやバケツ、そして三脚に乗ったビデオカメラが設置されていた。恐ろしいことが行われてると察したテスは、帰って来たキースにドアを開けてもらうと家からすぐに出て行こうとするが、キースは自分も確かめたいからドアがまた閉まると困るので1階で待っていてくれないかとテスにお願いする。渋々承知するとキースはひとりで隠し部屋へと向かって行った。

しばらくすると呼びかけても応答がなくなったので心配になって見に行くと隠し部屋には誰もいない。通路に出て調べると突き当りにもさらにドアがあり、開けてみると下へと降りる階段が続いている。スマホの明かりを頼りに真っ暗な階段を下り終えるとさらにトンネルのような通路はまだ先へと続いていた。キースに呼びかけると「助けてくれ」と声がしたのでさらに進むとしゃがみながらでキースが怯えた表情で近づいて来た。早く出ようとテスが戻るよう促すとキースは「あっちは奴らがいるからダメだ。反対側へ逃げよう」と言う。

状況が理解できないでいるテスだったが、そのときキースの後ろからおぞましい者が姿を現しテスを恐怖のどん底に叩き落す。

詳細なあらすじ&感想や考察(注:ネタバレに関連する内容含む)

まずこの作品は監督の発言などからエンターテインメント重視のホラーだということが伝わってきます。なので真面目に細かいところにこだわって観てはいけないのかなと。疑問に思っても基本スルーで巻き起こる現象を純粋に楽しむエンターテインメント・コミカル・婆ホラーだと理解してます。実際、よくわからない点や矛盾点もチラホラ。でもそんなのは無視していいんです!

この映画は段階的に映画のカラーというかコンセプトというか、展開するにつれその表情を変えてくるのが特徴です。

始まりはシリアス調で動と静で言えば「静」。予約した一軒家の宿になぜか男がすでに宿泊している。まずこの男は一体誰なのか?そこに焦点が行く。Airbnbの宿を予約したテスがその証拠を男に見せると男もテスに予約した証拠を見せる。

観てる者はまず「これは単にブッキング・ミスなのか、それとも男か予約サイトに何か裏があるのか」と考えるでしょう。テスは実際、会ったばかりの男を信用せず、初めのうちは男が勧める紅茶やワインを断っていた。しかし、共通の話題に会話が及ぶと距離が一気に縮まりテスもワインを飲み始め、すっかり男と意気投合して信用するようになっていた。

これも男が事前にテスの情報を入手して話を合わせたのでは?と疑ってしまう。雰囲気的にもシリアスなミステリー感が漂う。

テスは寝室で、その男キースはソファで眠りにつく。すると鍵を掛けたはずの寝室のドアが開き、その音と気配で目覚めたテスはキースの仕業かとソファを確認するもキースは寝ている様子。うなされているキースを起こすと「何をしている!」と驚いた表情。「開けてない」「脅かさないでくれ」と本当に寝ていたようだ。ここでテスの背後に見える地下室へのドアが閉まったように見える。

他にも何者かがいてキースと共謀してるのか?それともキースも知らない侵入者がいるのか?それとも霊的の話なのか?と思考を巡らす。

ここまでは非常にミステリーとして(ホラーとしても)良い雰囲気なので霊関係はちょっと嫌だなぁ、と思っていたが後々それが軽くぶっ飛ぶ方向に展開は変わっていく。

翌朝起きるとキースはいない。置き手紙があってナイスガイな感じが伝わってくる。テスは面接の前にも彼の身分証の写真を見て顔がほころぶ。気を許したどころか好意すら持ち始めてる様子。身分証はテスが寝室に入ったとき彼の財布が置いてあって念の為にと身分証を確認しスマホにも収めていた。

テスの面接を担当した女性によると「ブライトムーアに住んでる!?噓でしょ??」というぐらい地元ではやばいエリアのようだ。実際のところ昨夜は真っ暗で気付かなかったが明るいうちに通ってみると周囲は廃墟だらけでゾッとするような光景が広がっていた。

実際にチェック!

実際にそのエリアってあんな廃墟だらけでやばいのか??と興味が出て、ストリートビューで確かめたところ映画ほどではないけど確かに崩れた家屋がいくつかありました。ちょっと怖さは感じましたが、映画の中では露骨に危険な地域のように描かれており、「人気のある場所ではなく資産価値も低い」といったようなシーンも出てきますが、本当にそこまでの地域なのか詳しくはわかりません。ブライトムーアは実在する地域なので、実際の住人たちがこの映画を観たら心中は如何なものでしょうか。大笑いして「その通り!」だったりして。

ちなみに調べたところ「バーバリー通り(Barbary)」はありませんでした。ここは架空でしょうか。しかし「バーバラ通り(Barbara)」はありました。その通りもストリートビューでチェックしましたが劇中のような荒れ果てた家屋が連続してるということはなかったです。【Barbarian】は「野蛮人」の意味ですが、この地域(Barbary)に住む者って意味もモジってるんでしょうかね?

では、話を戻して。

面接を終えたテスは再びその宿に戻り、車から降りるとホームレスらしき男が声を掛けて迫ってくるので急いでキーボックスに暗証番号を入力して鍵を出して家の中に入る。キースはまだ帰って来ていない。やはりやばいエリアなんだな、と痛感する。

トイレに入るとトイレットペーパーがないことに気づき、地下室に探しに行って見つかったものの、入口のドアが閉まってロックされ出られなくなってしまう。反対側からでないと開かないようだ。

これは霊の仕業でやっぱりそれ系の映画なのか?とも思ったが、いや!そうではなかった!ここからネタバレも含みますのでご注意ください。

地下室に閉じ込められたテスはスマホも部屋に置いてきてしまい、家の鍵もさっき男が迫って来たせいでキーボックスに戻せず持って来てしまった為、キースが戻って来ても家に入れない事態となってしまう。幸い地下室には小窓があり、ちょうど玄関が見える位置にあったのでキースの帰りを待つことにする。

しばらくしてテスが地下室を物色していると壁から謎のロープが飛び出しているのを見つけ、それを引っ張ってみると壁の一部が隠し扉となっていてゆっくり開き始めた。中は真っ暗で、ライトも無いので躊躇って一旦はやめたものの、なかなか戻らないキースに待ちくたびれて壁の中に入ってみることにする。地下室に全身が映る鏡があったのでそれを立て掛けて小窓からの明かりを暗闇の中に反射させて幾分かの明かりを確保して中を覗いてみるとどうやら通路になっているようだ。テスは慎重に中に入ってみると数メートル進むんだところで突き当りとなり左側にはドアがあった。

ドアを開けて中に入ると異様な雰囲気が漂っており、狭い部屋の中にベッドとバケツ、そしてビデオカメラが置かれていた。ベッドとバケツは血が乾いたあとのように汚れている。瞬間で「こりゃ、やべー奴だ」と悟ったテスは急いで扉の外に戻るとちょうどキースが家に戻って来たところで、持って来てしまった家の鍵を小窓から渡してようやく地下室から出してもらう。

テスは異常な光景を目の当たりにしてすぐに家から出て行こうとするが、キースは自分も見たいと言い出してテスを引き留める。

まず、ビデオカメラがあった怪しい部屋からしてこれは霊系ではなく、異常者や凶悪犯による監禁や拷問系のホラーなのかな、となってくるわけだが、そうなると序盤からやたらテスを引き留めていたし、やはりキースが怪しいのかな?と思うのが自然な流れだし、制作者の意図としてもそういう目線に持って行かせたのだと思う。ここまでは映画の展開も雰囲気も統一感があるのだが、ここから印象が大きく変わる展開に持ち込まれていく。予定調和の破壊と言っていい。

「もう行きたくない!」というテスに「ひとりで見に行くから、またドアが閉じないように見張っていて欲しい」とキース。ドアがまた閉まってしまうと確かに大変だと思いテスは苦渋ながら引き受けることにする。しばらくして呼びかけても応答がないので、心配になったテスは閉まらないようにドアにイスを挟んで恐る恐る再び隠し部屋に向かう。

しかしキースの姿は見えない。どこに消えたのか?今度はスマホがあるのでライトで照らし周囲を確かめると、突き当りにも別のドアがあることに気付く。開けてみると下へと続く階段が現れ、ライトを向けても真っ暗で先が全くわからない。恐怖の中、階段を降りていくテス。

もしかしたらキースがやばい奴の可能性もあるわけだし、そうでなくても隠し部屋の光景からして別にやばい奴がいる危険性は高いわけで、なぜ危険を冒してまで行くのか?正義感なのか、多少なりとも好意を持った相手だからなのか、いいえ、それはこれがホラー映画だから。

あえて考察をしてはおりますが、前述した通りこの映画は細かいことを気にする映画ではなくジェイソンやフレディ、最近では「テリファー」のアート・ザ・クラウンのようにキャラを全面に押し出し、そのパワーで強引にねじ伏せて来るという完璧なまでの「エンターテインメント快活悪童キャラ立ちホラー」だからです。(ちなみに絶賛の表現です。)

そもそもホラー映画はよく「なぜ声を出す!殺人鬼にバレるやん!」「普通は逃げて電話で警察呼ぶやろ!何で女性が丸腰で行くかね」というテンプレ的な「おバカシーン」が存在し、その度に登場人物の行動に些か呆れたりもするものだが、それなくしてホラー映画あらず。まともな行動を取っていたら普通に解決して終わってしまうのです。

この映画は、序盤はサスペンスチックで極上のミステリー感がありますが、それを叩き壊して途中から別の映画かのようにカラーを突如一変させてきます。ちなみに事前にこの映画の知識は一切入れてませんでした。どれもそうですがそのほうが純粋に観れて楽しめるからです。

ここからがこの映画の本領発揮!熱い展開になって来ます!ネタバレ(中盤以降のあらすじ)も出て来ます。

暗闇の通路を進むと不気味な檻が置いてあり、中にはペット用のエサ入れのトレイも入っている。何か飼っていたのか?恐怖マックスの中、進んで行くと暗闇の中から突如テンパった表情のキースが現れしゃがんだ姿勢のままテスに近づいて来た。テスは驚き「なんで下に降りてきたの?」と問う。真っ当な質問だ。キースは「誰かいる。誰かに噛まれた。」と言う。テスは早く戻ろうと入って来たほうへ引き返そうとするがキースは「そっちは奴らがいる。こっちへ来るんだ!」とテスを引っ張る。

妖怪「育児希望!高身長パワフル全裸ババア」現る!の巻

そのキースの後方から何やら凄いスピードで迫ってくる者が。

身長は優に2メートル50センチはありそうな全裸の婆さんが素早い動きでキースに詰め寄ると、キースの頭を鷲掴みにして物凄いパワーで壁に何度も叩きつけて頭を粉砕してしまう。恐ろしい形相で威嚇してくるババアに戦慄するテス。

ここで場面が変わる。

※ちなみに「ゲゲゲの鬼太郎」風に言ったが、「砂かけ婆」のような妖怪ではないようだ。いや、妖怪が誕生してしまったとも言える。

妖怪風ババアとジャスティン・ロングの登場から方向性は一変する!

突如、カリフォルニア?かどこかに舞台は移る。映画は開始して約43分ほど。映画の第二部といってもいい。

海辺をオープンカーで走らせる男。歌いながら超ご機嫌。俳優のAJギルブライド(ジャスティン・ロング)だ。夜だったり地下室だったりでずっと暗い場所で静かなシーンが多かったので、ババア登場からのスカッとした晴れ渡る海辺の映像はそれだけで完全に物語が替わった感覚になる。

気分よく運転してるとテレビ局から電話が掛かって来て、突如「番組(ドラマ)から降りてもらう」と言われる。共演の女優から性被害を受けたと告発されたようだ。メディアにも掲載されるからもうアウトだ、と。「ちょっと待てや!」と必死に弁解するも少なからず身に覚えのあるギルブライドはさらに「訴えられる恐れもある」と聞いて意気消沈し電話を切る。

訴訟によって弁護士費用がかなり掛かり、このままだと3ヶ月ともたないから自宅を売却すべき、と資産管理者に忠告されるが、ギルブライドは100%大丈夫だと強がり、自宅ではなくミシガンにある不動産物件を売ると提案する。すると管理者は「人気がない場所だから高くは売れない。数か月しか時間稼ぎは出来ない。他の者を当たってくれ」とギルブライドの仕事から降りることを告げる。

テレビ局の予告通り、ウェブメディアに女優の告発が掲載されてしまったギルブライドは売り払う為にミシガンの物件に向かう。到着すると誰かの車が駐車しており、家の中にもまだ人が居るであろう形跡が残っていた。不動産屋に電話すると2週間は貸してないという。次の予約が入ったら清掃するが、退出しただけでは清掃はしないとのこと。

この物件、そして置きっぱなしの荷物は言うまでもなくテスとキースの物。大家がギルブライドで日本でいうところの民泊として貸していた。確かに周囲の状況を見ると人気がある物件とは思えない。というかこんなとこ嫌でしょ。買うどころかここを借りる人もどうなのって感じだが、テスのようにネットで予約しただけだと実際の地域がどんなかはわからないだろう。キース曰く「街は学会があって宿は取れない」らしいからこんなやばいエリアしか空いてなかったのかと思う。

映画を観てるといくつか疑問が湧いてきてしまうもの。例えば、これまでどれぐらいの人に貸したのか?ギルブライド含めてこれまでの客も全員、あの壁のロープと隠し部屋には気付かなかったのか?ババアが就寝中のテスの部屋を開けた?のだとしたらどう寝室の鍵を開けた?そして地下室側からも入れないはずだがどう入ったのか?物件に着いて友人から電話が掛かってきたとき「街に戻ったよ」とギルブライドが言ってそれからバーに飲みに行くのだけど、元々デトロイトには住んでいたということなのか?など。

しかし、クドいようですがそこを追求するような映画ではないのです。

とにかくこの婆さん(とジャスティン・ロングの挙動と顛末)を楽しむホラーなのです!

ジャスティン・ロングの登場によって急激にコメディホラー化していく!

誰かがまだ家にいると思ったギルブライドは地下室を見に行くと鏡が立てられており、それが向けられた壁を確かめると飛び出ているロープに気付き、引っ張ると扉が開いて隠し通路があることを発見する。

この物件を売ろうと思っていたギルブライドには願ってもない展開。懐中電灯と計測する為のメジャーを取りに戻ると嬉々として躊躇いなく壁の中に入っていく。

例の不気味なベッドやビデオカメラがある部屋に入ってもそこには全く関心を示さず、ひたすら広さを計測することしか頭にない様子。一旦、部屋に戻るとネットで不動産価値は上がるものなのかを検索する始末。壁の中の通路を計測してると突き当りにさらにドアがあることを発見し、まだまだ続く隠しスペースに恐怖感どころか思わず顔がニヤける。

もはや「あんたの家の範疇を越えてるんちゃうの?」というほど不動産としてはそんな長いトンネルは別モノだと思うが、ギルブライドは色めき立ってドンドン奥へと進む。すると明かりが漏れている部屋にたどり着く。入ると授乳している映像がテレビ画面には映し出されていた。さすがのギルブライドも不気味に感じたが、その直後に計測で伸ばしていたメジャーがバサバサと動いて何者かに引っ張られ持って行かれる。(一体何メートル測れるメジャーやねん。)

ライトで照らすも暗闇のみ。ビビッて反対側へ逃げ出すが、かなり通路は広大で迷路のようだ。懐中電灯を落としてしまい立ち止まって拾い上げると何かの気配を感じてその先に明かりを向けてみる。あのババアだ!!

追い掛けて来るので暗闇の中を必死に逃げると穴に落下。ババアの仕掛けたトラップらしい。上からガシャンと格子状の蓋で閉じ込められてしまう。状況を理解できず恐怖するギルブライド。するとそこに現れたのはテスだった。

時をさかのぼる

ここで昔のブライトムーアに話は移る。あの家から出てきたのは40前後の無表情な男フランク。周囲はまだ綺麗で廃墟化していない頃。スーパーに赤ちゃん用品を買いに行くと、その帰り際に買い物終わりの女性が車に乗るのが目に留まる。男はその女性をストーキングして家を確認すると作業着に着替えて訪問。水道の確認をしたいと言ってバスルームに入れてもらうとそこの窓のロックを外してすぐに立ち去った。かなり手慣れている。深夜に再びやって来てここから侵入するのだろう。

家に帰ってくると隣人が話し掛けて来て、自分の家を売りに出すと言う。来年はこの辺も荒れるだろうから今のうちに売っておこう、という内容。<ここについてはよくわからないが現実の時代背景でも何かあったのだろうか?>

あんたも売るのか?と聞かれてフランクはずっと住むと答える。そして赤ちゃん用品が入った紙袋を抱えて地下室へと消えていく。

エキサイティングな展開へ!

再び現代に戻ってテスとギルブライド。

格子状の蓋の上からババアが哺乳瓶をギルブライドに差し出してきた。ギルブライドは当然ながら拒否するが、テスは「飲んで」と忠告する。かれこれ2週間ここに居るテスは何か把握しているようだ。飲まないギルブライドから哺乳瓶はテスへと向けられるとテスは嫌々ながらも口にする。すると再び哺乳瓶はギルブライドに向けられる。拒絶するギルブライドにテスは「彼女は私たちを育てたいのよ」と言ってババアが怒り出さないようさっさと飲めと説得する。それでも飲まずにいると蓋が開いてババアが降りて来る。テスを我が子のように抱き寄せると今度はギルブライドに向かって赤ん坊をあやすようにバァバァ言う。恐怖でおもわず叫ぶとババアはギルブライドを引きずってどこかへ行ってしまった。

テスはその隙にギルブライドが持っていた懐中電灯を持って表へと逃げ出す。途中、授乳ビデオが流れていた部屋でギルブライドがババアにリアル授乳されてるところを目撃するがスルーして地上を目指す。しかし落ちていたメジャーが足に絡んで音を出して気づかれてしまう。ようやく壁の外に出て1階に向かうがギルブライドがイスをどかしてしまったせいで、ドアはまた閉まっていた。

今度、捕まったら最後だと地下室の小窓を破ってそこから脱出を試みると手を貸してきたのはいつかのホームレス男性だった。給水塔には女は来ないからそこに逃げようと勧めるが、テスはまだ中にギルブライドが捕まってるので助けたいから警察を呼ばないと、と言って電話を借りられるところを探して歩いていく。

その男が言うにはババアは夜になると家の外にも出て来るらしい。そしてテスを探すだろうと。だから絶対に近寄るなと警告する。

え?普段から外にも出て来るんか?これまで宿泊した人も絶対捕まってるやん!

ババアがテスを追った隙に今度はギルブライドが逃げ道を探す。行き止まりになってる部屋の前に着いて振り返ってスマホの明かりで闇を照らすと薄っすらババアのシルエットが見えたがババアはなぜか近寄らずに姿を消す。ギルブライドは部屋の中に入る。

汚い部屋でベッドには老人が寝ていた。随分と具合が悪そうでギルブライドはこの老人もあのババアに捕まったのかと思い込む。

一方、テスは電話を借りて警察を呼ぶが、来た警官はまともに取り合ってくれない。

ギルブライドは老人に「助けてやる。警察も来る。」と告げると老人の表情が曇り、サイドテーブルを持ってくるようギルブライドに要求する。すると老人はそのテーブルの引き出しを開けて何かを取り出そうとする。

テスは警官と共にパトカーで家の前に着いていたが、住人じゃないなら中には入れないと言い、いくらテスが訴えてもただの酔っ払いの戯言だろう、って感じで全く聞く耳を持たず、結局テスを置き去りにして警官は帰ってしまう。

いや、そのエリアは危険じゃないんかい!置いてくか普通!

ギルブライドは部屋を物色してるといくつものビデオテープを見つける。テープには怪しいタイトルが書かれたラベルが貼られている。女性の名前や特徴などだ。そのうちのひとつをデッキに入れる。

テスは家の窓ガラスを割って中に侵入する。

ビデオを見たギルブライドは老人を問い詰め罵倒する。ベッドやビデオカメラが置いてあった隠し部屋で撮影されたであろうもので、おぞましい光景が映っていたのだろう。この老人は元々のこの家の持ち主のフランクだった。フランクは拳銃を引き出しから取り出すと自分の頭を撃って自殺してしまう。

家から自分の車の鍵を持ってきたテスは車を発進させる。そこへババアが勢い良くドアから飛び出して向かって来た。テスは車をババアにぶち当ててそのまま家に突っ込むと車と家に挟まれてババアは絶命する。テスはギルブライドを助けようと地下に向かうがフランクの拳銃をゲットしたギルブライドにババアと勘違いされて撃たれてしまう。

一命は取り留めたテスをギルブライドは外に連れ出すが、挟まれて死んだと思われたババアの姿は消えていた。テスの車は壊れ、ギルブライドの車のキーは地下、そしてスマホもなく途方に暮れるが、給水塔は安全だというホームレス男性アンドレの言葉をテスは思い出してそこへ向かう。

アンドレが言うには40年前からババアとその父親のフランクはあの家で暮らしてるとのこと。女を連れ込んで子供を作り始め、またその子供にも手を掛け、それを繰り返し自分のコピーを増やしたという。

つまりババアは言うほどババアではなかったということか?複数の女を拉致して連れ込んで子供を作って、さらにその子供が成長したらその子の間にも子供を作ったのだとしたら、ババア以外の女子供はどうしたのだろうか?ババアが完成形だとして他は殺してしまったのだろうか?その様子もあのテープに収められていたということか?

給水塔にババアは来ないと言っていたアンドレだが背後から壁をぶち破って豪快にババアが殴り込んで来る。体をホールドされ左腕をむしり取られると、その自身の腕でボコボコに殴られてアンドレは絶命。テスとギルブライドは給水塔の屋上に逃げるが逃げ場ナシ。さっきまで誤って撃ってしまったテスを助けると言っていたギルブライドだが、自身が助かる為にババアが自分の赤ちゃんだと思っているテスを給水塔から地面に引きずり落として囮に使うという最低っぷりを見せる。

ギルブライドの思惑通り、落下するテスを救おうと決死のダイブを敢行する愛情深きババア。ギルブライドが見に行くとババアがクッションになってテスは助かっていた。動揺したギルブライドは「パニくった。」「手を離してない。君が滑ったんだ。」と釈明してると、ババアがむくりと起き上がりギルブライドの首を掴んで持ち上げ、両親指をギルブライドの両目にぶち込んで頭ごと引き裂くというとんでもない力業を披露してギルブライドを葬り去る。

ババアは意識朦朧のテスを自分の赤ちゃんのようにあやし、優しい表情を浮かべるがテスは容赦なくギルブライドが落とした拳銃でババアの顔面を打ち抜くとババアはあっさり絶命。テスは足を引きずりながらその場を去る。軽快な曲が流れてエンディング。

ジャスティン・ロングを久々に観た気がする…

ジャスティン・ロングが出ている映画を最後に観たのがサム・ライミの「スペル」だと記憶している。劇場に観に行った映画だけど、2009年の映画なのでもうかなり前になるんだなぁ。(現在2023年)イメージより「老けたなぁ」と思ったけど14年も経ってるからそりゃそうだ。彼自身はもちろんその後も映画は出ております。私が観てないだけです。

そういえば「スペル」もアグレッシブ・ババア・ホラーと呼べる映画で、あのおばさんのハッスルっぷりは忘れられない。個人的には敬愛する「死霊のはらわた」の続編(4作目)でもいいんじゃないかと思ってる作品。ブルース・キャンベルが主演じゃないけども。

制作のロバート・タパートはライミ映画に多く参加しており、実際「死霊のはらわた」シリーズにも関わっている。

キャラ感は変わってないなぁって印象。「バーバリアン」でも彼が出てから映画の雰囲気が一変。前半のシリアス調な緊張感は吹き飛んで、姿を現したババアと共に見事に後半戦の熱い展開を盛り上げてくれました。死にザマも見事です。

良い味!ビル・スカルスガルド

この映画は、シリアス風な前半はビル・スカルスガルド、エンタメホラー化してくる後半はジャスティン・ロングに分かれていて、それぞれ前後半のみでお役目終了となってます。

ビル・スカルスガルドは「IT それが見えたら終わり」の殺人ピエロ、ペニーワイズ役のスウェーデン人俳優。その印象もあってか、今作でも何か企んでるんじゃないか?と思わせますが、最終的にはまぁ、良い人だったですね…。表情とか個性的で面白い俳優だと思います。ババアに頭を掴まれて壁に叩きつけられるサマにすら個性を見た思いでございます。

ちなみに今作の制作者のひとりはロイ・リーですが、彼は「IT それが見えたら終わり」もプロデュースしております。彼がキース役にスカルスガルドを推薦したんでしょうかね。

寸評 漫画太郎氏のばばあ…を彷彿していたのかも知れない

あとで気付きました。私がどうして「バーバリアン」のThe Mother(エンド・クレジットでそう表記されている)のことをババアと呼んでしまうのか。それは漫画太郎氏の描くばばあをどこかで重ねて見ていたのかも知れません。ずっと何かに似ているというデジャブ感がありました。何かの映画だっけ?とか。いや、漫画太郎氏の描くばばあでした。

解決しました。めでたしめでたし。

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