映画(全ジャンル)

1981年の映画をおさらい < Part 3. >

本当は2回で終わらそうと思っておりましたが、1981年はまだ注目する映画があります!さらに延長戦としてご紹介したいと思います。

1981年の映画って何がある?

Part 3. は16作品を取り上げます。

ニューヨークの恋人たち(アメリカ映画)They All Laughed

監督/脚本 ピーター・ボグダノヴィッチ

出演 オードリー・ヘップバーン、ベン・ギャザラ、ジョン・リッター、コリーン・キャンプ、ドロシー・ストラッテン

オードリーの最後の主演作。何かといわく付きの映画で、オードリーには夫ドッティがいたものの彼は不倫し、オードリーも1979年の映画「華麗なる相続人」で共演したギャザラと恋仲になっていた。ボグダノヴィッチはふたりの為(というか主にギャザラの為)に映画を制作しようと今作に取り掛かるが映画撮影中にオードリーはオランダ人俳優のウォルダーズと付き合うようになる。今作には息子のショーンも出演しているが、出演に乗り気でなかったオードリーが引き受けたのも彼の参加があったからだと言われている。

ボグダノヴィッチは撮影中にストラッテンと不倫関係になる。ストラッテンと彼女の妹と3人で暮らすようになりストラッテンは夫のスナイダーと離婚を考えるようになる。撮影も終わり公開を控えていた頃、離婚の話し合いをしようとストラッテンはスナイダーの家を訪れるが彼に銃で撃たれてしまう。ストラッテンを殺害したスナイダーもその後、同じ銃で自殺する。ストラッテンはまだ20歳であった。

こうしてロマンティック・コメディでありながらネガティブな印象が付いたせいか公開に向けても一悶着あり限定的にしか公開されず、最終的に興行収入は低迷しボグダノヴィッチは破産することになる。しかし、しばらくして再び映画を撮り始めるとその数年後にストラッテンの妹ルイーズと結婚する。

ハロウィンⅡ(アメリカ映画)Halloween Ⅱ

監督 リック・ローゼンタール

脚本/制作 ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル

撮影 ディーン・カンディ

出演 ジェイミー・リー・カーティス、ドナルド・プレザンス

ジェイミーは1978年に「ハロウィン」で映画デビューすると、立て続けにホラー映画に出演し「絶叫クイーン」と呼ばれるようになる。2022年公開の最新作「ハロウィン THE END」を含めてシリーズ通算7作品に出演している(ハロウィンⅢには声のみで参加。それを合わせると8作品に関わる)。彼女の母親はジャネット・リーでヒッチコックの「サイコ」に出演。ホラーアイコンとも言える存在だったことでプロデューサーのヒルは彼女の娘ジェイミーのキャスティングを望んだ。「ザ・フォッグ」「ハロウィンH20」では母娘が共演している。また、どちらも「刑事コロンボ」の出演経験がある。ちなみにジェイミーの父であるトニー・カーティスは「名探偵ポワロ」に出演している。

プレザンスは1995年9月公開の「ハロウィン6 最後の戦い」に出演するも映画が公開する前の同年2月に75歳で病気により亡くなっている。彼もまた「刑事コロンボ」に出演している。

撮影監督のカンディはカーペンター作品に数多く携わっており、「遊星からの物体X」「ゴーストハンターズ」などがある。ちなみにどちらも主演はカート・ラッセル。撮影はカンディではないが、カーペンター×ラッセルでは他に「ニューヨーク1997」とその続編「エスケープ・フロム・LA」がある。ジャネット・リーは「サイコ」に出演したが、カンディは「サイコ2」の撮影に参加している。他にも「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ、「永遠に美しく」といったロバート・ゼメキス作品や「ジュラシック・パーク」など超メジャー作に多数関わる。

編集技師のマーク・ゴールドブラットは以降、「ターミネーター」「コマンドー」「ターミネーター2」「トゥルーライズ」など超大作に数多く参加。挙げたのはいずれもアーノルド・シュワルツェネッガー主演作品だが、「トゥルーライズ」にはジェイミー・リー・カーティスもシュワルツェネッガーの妻役で出演している。

ファンハウス/惨劇の館(アメリカ映画)The Funhouse

監督 トビー・フーパー

撮影 アンドリュー・ラズロ

監督は「悪魔のいけにえ」シリーズ、「ポルターガイスト」「スペースバンパイア」などホラー作品で有名なトビー・フーパー。撮影監督のラズロは「ランボー」「ストリート・オブ・ファイヤー」「ポルターガイスト2」などに参加している。

今作のオープニングは「ハロウィン」や「サイコ」をパロディ化している。

※このB級感溢れる作風が私は結構好きです。「悪魔のいけにえ」に比べるとメジャーとはなりませんでしたが、その1作目と2作目に通ずるものがあって公開した年代やタイトル、もしくはわずかな脚色によっては「悪魔のいけにえ」レべルの映画になったんじゃないのかな、と思っています。

誓い(オーストラリア映画)Gallipoli

監督 ピーター・ウィアー

音楽 ブライアン・メイ

出演 メル・ギブソン

ギブソンは1979年公開の「マッドマックス」で一躍スターになる。81年には今作「誓い」と「マッドマックス2」が公開。ブライアン・メイは「マッドマックス」2作品の音楽も担当している。

アウトランド(イギリス映画)Outland

監督/脚本 ピーター・ハイアムズ

音楽 ジェリー・ゴールドスミス

出演 ショーン・コネリー

ハイアムズは「カプリコン・1」「プレシディオの男たち」「エンド・オブ・デイズ」などの監督。ゴールドスミスは「オーメン」「カプリコン・1」「エイリアン」「ランボー」シリーズ、「氷の微笑」など挙げればキリがないほどの名作や大作で音楽を担当した巨匠的存在の作曲家。コネリーは初代ジェームズ・ボンド役で有名になると以降、数多くの映画で主演を務める。2020年10月31日に90歳で亡くなる。

アパッチ砦・ブロンクス(アメリカ映画)Apache, The Bronx

出演 ポール・ニューマン、パム・グリア

ニューマンは1950年代から数々の映画に出演。「ハスラー」シリーズ、「タワーリング・インフェルノ」などが有名。パム・グリアは1973年に主演した「コフィー」が大きな印象を与えた。その映画の音楽を担当したのはジャズ・ヴィブラフォン奏者のロイ・エアーズ。

ナイトホークス(アメリカ映画)Nighthawks

出演 シルヴェスター・スタローン、ルトガー・ハウアー

スタローンは当時35歳。「ロッキー」2作品を撮り終えての今作。翌年には「ロッキー3」に加えて「ランボー」も遂にスタートする。ハウアーはオランダ人俳優で今作がアメリカデビュー作。テロリスト役としてスタローンと対峙して評価を得ると、翌年公開の「ブレードランナー」ではハリソン・フォードの敵役レプリカントのリーダーとして強烈な印象を残す。1986年の「ヒッチャー」も異常な殺人鬼を個性的に演じてインパクトを与えた。

おかしなおかしな石器人(アメリカ映画)Caveman

出演 リンゴ・スター、デニス・クエイド、シェリー・ロング、バーバラ・バック

リンゴ・スターは元ビートルズのドラマー。前年1980年12月にジョン・レノンが殺害されている。共演したバックとは81年に再婚しているが、撮影中にすでに恋人同士となり、レノンの死去後にふたり揃って彼の自宅があるニューヨークを訪れたとされる。

シェリーはコメディエンヌとして知られ、今作後はロン・ハワード監督の「ラブ IN ニューヨーク」などコメディ映画をメインに活躍し、「爆笑!?恋のABC体験」でトム・クルーズ、「マネーピット」 ではトム・ハンクスと共演している。

キラーハンド(アメリカ映画)The Hand

監督 オリヴァー・ストーン

音楽 ジェームズ・ホーナー

出演 マイケル・ケイン

ストーンは5年後の1986年に「サルバドル/遥かなる日々」そして「プラトーン」というどちらも重厚な戦争映画を監督すると「サルバドル」は興行的には不発となるも、その数ヶ月後に公開された「プラトーン」は爆発的な大ヒットを飛ばす。マイケル・ケインは1950年代から数多くの映画に出演。近年では監督のクリストファー・ノーランが好んで起用している。伝記ドラマ映画「The Great Escaper('23)」を最後に俳優を引退すると先月表明したばかり(2023年11月17日現在)。ケインは現在90歳である。

告白(アメリカ映画)True Confessions

監督 ウール・グロスバード

制作 アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ

音楽 ジョルジュ・ドルリュー

撮影 オーウェン・ロイズマン

出演 ロバート・デ・ニーロ、ロバート・デュバル

制作のウィンクラーとチャートフは「ロッキー」シリーズに長きに渡り携わっている。ドルリューは「プラトーン」「サルバドル」「ツインズ」などの映画音楽で知られる。撮影監督のロイズマンは「フレンチ・コネクション」「エクソシスト」「トッツィー」「アダムス・ファミリー」など多くの作品に参加。2017年の第90回アカデミー賞では名誉賞を受賞。2023年1月に86歳で死去している。

デ・ニーロとデュバルは今作の7年前に「ゴッドファーザー Part Ⅱ」で共演している。

サーカス天国(アメリカ映画)When the Circus Came to Town

監督 ボリス・セイガル

出演 エリザベス・モンゴメリー、クリストファー・プラマー

本作は劇場公開ではなくテレビ映画として制作された。セイガルはこの年に「第三次世界大戦」というテレビ映画を撮影中に事故死している。モンゴメリーは言わずと知れたテレビドラマ「奥さまは魔女」のサマンサ役が有名。足掛け8年、全8シーズンに渡って続いたロングヒットの「Sitcom(シチュエーションコメディ)」と呼ばれるホームコメディドラマ。

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー(アメリカ映画)Thief

監督/脚本 マイケル・マン

制作 ジェリー・ブラッカイマー、ロニー・カーン

撮影 ドナルド・ソーリン

出演 ジェームズ・カーン、ジェームズ・ベルーシ

監督のマンは今作が劇場映画デビュー作。他には「ラスト・オブ・モヒカン」「ヒート」「マイアミ・バイス」「パブリック・エネミーズ」など。プロデューサーのブラッカイマーは「ビバリーヒルズ・コップ」シリーズ、「トップガン」シリーズ、「デイズ・オブ・サンダー」「バッドボーイズ」シリーズ、「コン・エアー」「ブラックホーク・ダウン」「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなど多数の大ヒット作、超大作をプロデュースしている。撮影監督のソーリンは他に「バッドボーイズ」「ミッドナイト・ラン」「ロックアップ」「デッドフォール」「シャフト」などこちらも大作に携わっている。

カーンは60年代に映画デビュー。「ゴッドファーザー」シリーズのソニー役が有名。また、「ミザリー」では監禁される小説家役を演じてアニー役のキャシー・ベイツ共にインパクトを残す。2022年7月に82歳で死去。ジェームズ・ベルーシは「ブルース・ブラザーズ」や「サタデーナイトライブ」で有名なジョン・ベルーシの弟。兄のジョンは翌年1982年に亡くなるが、彼もまた兄の死後に「サタデーナイトライブ」に出演している。他に「サルバドル」「レッドブル」「K-9/友情に輝く星」など。

ミスター・アーサー(アメリカ映画)Arthur

音楽 バート・バカラック

出演 ダドリー・ムーア、ライザ・ミネリ

バカラックはピアニスト、作編曲家、シンガーソングライターでもある有名な音楽家。数多くのシンガーへの楽曲提供や制作にも関わってきた。今作の主題歌、クリストファー・クロスが歌う「ニューヨークシティ・セレナーデ」も彼が制作に携わっており、アカデミー歌曲賞を受賞している。2023年2月に94歳で死去。

シャーキーズ・マシーン(アメリカ映画)Sharky's Machine

監督/出演 バート・レイノルズ

1981年の映画Part1.で紹介した「キャノンボール」にもレイノルズは主演している。

スクープ 悪意の不在(アメリカ映画)Absence of Malice

監督/制作 シドニー・ポラック

音楽 デイブ・グルーシン

撮影 オーウェン・ロイズマン

出演 ポール・ニューマン、サリー・フィールド

ポラックは「トッツィー」「愛と哀しみの果て」「ザ・ファーム 法律事務所」などの監督。制作でも「ファビュラス・ベイカーボーイズ」「推定無罪」「コールドマウンテン」「マーガレット」など多数の作品に携わっている。

U・ボート(西ドイツ映画)Das Boot

監督/脚本 ウォルフガング・ペーターゼン

音楽 クラウス・ドルディンガー

撮影 ヨスト・ヴァカーノ

出演 ユルゲン・プロホノフ

ペーターゼンは「ネバーエンディングストーリー」「ザ・シークレット・サービス」「アウトブレイク」「ポセイドン」などの監督。2022年8月に81歳で死去。撮影監督のヴァカーノは「ネバーエンディングストーリー」「ロボコップ」「トータルリコール」「ショーガール」「インビジブル」などにも携わっている。

あとがき

1981年の映画を全3回に渡ってご紹介しました。紹介した以外にもこの年はまだまだたくさんの映画がありますが、全てやってるとキリがなく本題のホラーブログに戻れないのでこの辺でご容赦ください。日本映画が少なくなったのは申し訳ありません。また、特定の年にスポットを当ててご紹介したいと思っております。映画はとても素晴らしいものです。ぜひたくさんの作品を観て頂きたいと思います。

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